先輩と後輩の会話。
先輩「でさ、エスカレーター乗ってる時にさ、袋からエリンギが落っこちちゃってさ、」
後輩「エリンギ?」
先輩「エリンギ。鍋に入れようと思ってさ」
後輩「あ〜鍋っていったらエリンギですよね」
先輩「そうかぁ?どっちかっていうとエノキのほうが鍋っぽくね?で、慌てて追いかけようとしたら…」
後輩「エノキ?あの鍋に入ってる白くて細くて束になってるやつは」
先輩「エノキ。追いかけたらずっこけちゃってさ、」
後輩「追いかけたって、そんな狭い空間で?」
先輩「?いやいや、まあ何人か乗ってたけど、あ、もしかしてエレベーターだと思ってる?俺が乗ってたのは、エスカレーター。で、ずっこけたんだけど、」
後輩「あれ?階段状で昇り降りする方の機械は…」
先輩「エスカレーター。ずっこけたんだけど、エスカレーターに乗ってるから俺もエリンギも等間隔のまま一緒に上っていくわけさ。それがなんかちょっとおもしろく感じちゃってさ」
後輩「ふーん。確かに先輩の頭エリンギっぽいですもんね」
先輩「どこがだよ。俺の頭とお前の頭をキノコで例えるとしたらお前がエリンギで俺がエノキだよ」
後輩「え?でも僕の頭ちゃんとワックスでまとめてますよ?エリンギみたいにボサボサなのは先輩の方ですよ!」
先輩「ワックスでまとめすぎてるからエリンギみたいになってるんだよ。お前まだエリンギとエノキを逆に考えてるだろ」
後輩「あ、そうか。先輩の頭みたいな方がエリンギか」
先輩「エノキだよ!いや、俺の頭もエノキじゃないけど!」
後輩「僕の頭がエノキってことですか?!」
先輩「お前の頭はエリンギだよ!」
後輩「そういえば先輩、」
先輩「なんだ?」
後輩「さっき人事異動があって」
先輩「唐突だなあ」
後輩「僕が先輩の先輩になるそうです」
先輩「ん?」
後輩「つまり先輩は後輩です」
先輩「お?」
後輩(以下、先輩)「というわけで、以下肩書きは僕が先輩で、先輩が後輩になります」
先輩(以下、後輩)「ちょっと待って。そんな唐突な人事異動ある?」
先輩「先輩!…あ、後輩!僕が先輩なんだから、ちゃんと敬語で話してくださ…くれよ!」
後輩「そんな急な…君もすでに混乱してるじゃないか」
先輩「これからはエスカレーターのボタンも先ぱ…君が押すんだからな!」
後輩「ボタンがあるのはエレベーターだってば!ややこしいからこの期に及んで間違えないでくれ!…あ、間違えないでくださいよ!先輩!」
先輩「と、とにかく!君のそのエリンギみたいな頭も直してきてくだ、れ、よな!後輩くん!」
後輩「だからエリンギみたいなのはき、先輩の方!で、俺の頭はエノキのほうだっ、です、って!先輩!」
先輩「僕も」
後輩「ん?」
先輩「さっきまで先輩だった後輩を見習って、エリンギみたいにワイルドでダンディーな髪型にしようかな」
後輩「(俺の頭はエリンギじゃなくてエノキの方なんだけどな…)」
先輩「ときに後輩くん」
後輩「なんですか?」
先輩「君と呼ぶのも忍びないから、名前を教えてくれないかね?いつも先輩って呼んでたから名前を忘れちゃった」
後輩「あ、俺は榎木です」
先輩「え、えのき…?エノキくん?エリンギみたいな髪型なのに?ややこし〜」
後輩「いや俺の頭の方がエノキだからむしろストレートですって!あ、でも先輩が後輩から先輩になって俺の髪型を真似してエノキみたいになって、俺がさっきまで後輩だった先輩の真似してエリンギみたいになったら俺がエリンギの頭でエノキなわけだから、それはちょっとややこしくなっちゃいますね」
先輩「僕はまだ脳内でエリンギがエリンギとして、エノキがエノキとして認識されていないから今の君の話は何にも分からなかった!」
後輩「そうでしょうね!」
先輩「つまり君は、今はエリンギみたいな髪型をしているけど、僕みたいな髪型になったらエノキの髪型をしたエリンギ君になっちゃうんだね!」
後輩「エリンギくんって誰ですか!!」
先輩「君じゃないか!」
後輩「僕は今はエノキみたいな頭をしてるけどこれからエリンギみたいな頭になるエノキくんですよ!」
先輩「訳がわからないよ!」
後輩「今の僕はエノキっぽい榎木です!シンプル!」
先輩「なんだって!じゃあエリンギはどこにいったんだ!…あ!袋から落ちてエレベーターを転がっていったのかーー!!」
後輩「エリンギと一緒に榎木も転がりましたけどね!そしてエレベーターじゃなくてエスカレーターですー!!」
(◜ᴗ◝ )
オチは無かったけど、作者も混乱しちゃうのでおしまい(◜ᴗ◝ )
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