『ぼくとサンタさん』 2021edition

3年前に書いた『ぼくとサンタさん』の今年バージョンを書きたいと思います。特につながってるわけじゃないです。

3年前に書いたやつはこちらです。
なぜかリンク埋め込みできなかったのでURLベタ貼り。
https://note.com/icecreamspoon/n/n6a1cd41d638d

🎅🎅🎅🎅🎅🎅🎅

ぼく(以下、ぼ)「サンタさん」

サンタさん(以下、さ)「ひえっ」

ぼ「びっくりしないでよ。深夜に部屋に侵入してきてびっくりしたいのはこっちの方だよ」

さ「誰だって寝てると思ってる人間が背後から話しかけてきたらびっくりよ〜。サンタだって人間なんだから。それにこっちだって別に好きで侵入してる訳じゃないよ?子どもが寝てる時にバレないように部屋に忍び込むっていうのがこの仕事の規則だからね。別にバレたってさ、いいと思うんだけどね。悪いことしてる訳じゃないんだから」

ぼ「なんでそういう規則ができたんだろう?」

さ「さあね。頼んでたプレゼントと違う〜みたいなクレームで子どもと喧嘩になったりしたんじゃないか?あんまり1人の家に時間かけすぎると業務滞っちゃうし。あとは、一緒に写真撮って〜とか、サインくれ〜みたいな要望もあるらしいけどね。やれやれ、こっちはアイドルじゃないんだからさ」

ぼ「言いながらちょっとニヤニヤするのやめてよ」

さ「し、してないよ。っていうかひげで隠れてるんだからニヤニヤしてるかどうかなんてわからないだろ?」

ぼ「それよりさ」

さ「なんだい?プレゼントの変更希望かい?あんまり大きく変更すると手数料取られちゃうかも」

ぼ「現実だなあ。そうじゃなくて、なんで来てんの?まだクリスマスじゃないよ?」

さ「いやあ」

ぼ「いやあ、って。クリスマスじゃなかったら本当にただの不法侵入じゃないか」

さ「許してよ。予行練習だよ。当日はほんまに忙しいんやで?空が明るくなってきたらバレちゃうから暗いうちに配らなきゃいけないし、プレゼント間違えたらすぐクレーム入る。モンスターペアレントだって結構いるのよ?『うちの子にゲームを与えるなんておたくのサンタはキ◯ガイですか?』なんて言ってきたりするんだから。お前の子どもが頼んだんやぞって」

ぼ「へえ、大変だね」

さ「大変なんだよ。でも君の今の相槌は大変興味無さそうだったな。本当に大変なんだぞ。まあいい、君も大人になったらこの辛さは身に染みてわかるはずだから」

ぼ「あんまり分かりたくないけどね」

さ「実はさ」

ぼ「なあに?」

さ「この仕事向いてないんじゃないかと思って」

ぼ「サンタさんにも向き不向きがあるもんなの?」

さ「あるよ〜あるある。全然ある。この仕事もさ、もう独り立ちして3年目なわけじゃん?一応業務には慣れてきたんだけど、今年入ってきた新人とかが結構バリバリ働いたりしててぇ、でぇ、なんか新人のくせに子どもからのお手紙とかもめちゃくちゃもらったりしてんの。もう、なんなのかな。やっぱセンスとか?才能とか?そういうのある人っているよな、どこにも。やんなっちゃうよこっちは。僕新卒からずっとサンタだからさ、他の仕事に転職しようと思っても、それこそ宅急便とかU○er Eatsとかになってきちゃうよな」

ぼ「そういう分類なんだ」

さ「そもそも僕寒がりだし、夜は早く寝たいタイプなんだよ」

ぼ「全然向いてないじゃん。そもそもなんでサンタになったの?」

さ「ちょうど就活の時期子どもが増えてたみたいでさ、サンタの人員が足りなかったっぽくて大量募集してたの。未経験OKだったし、研修でフィンランド行くの楽しそうだな〜って」

ぼ「そういう感じなんだ」

さ「でも年取るとさぁ、色々きついのよね。プレゼントもたまにめっちゃ重いのあるし。去年なんか『筋トレ始めようセット』ってやつを頼んだ子どもがいてさ、ダンベルがすんごい入ってて持ち上げたらぎっくり腰やっちゃったの」

ぼ「それは大変だ。楽じゃないね、サンタも」

さ「そうなの。君やっと分かってきてくれたみたいだね。ちょっとまだ話し足りないからさ、その辺で一杯ひっかけながら話そうよ。トナカイたちなんかもう色々都合つけられて来てくれなくなっちゃった」

ぼ「僕子どもだからお酒飲めないんだ」

さ「なに?そういえばそんな法律もあったな。え〜、ちょっとショック。クリスマス明けに飲み明かすのが楽しみで仕事してんのに飲み友達もできない」

ぼ「他のサンタさんとは飲まないの?」

さ「いや〜だって。言うたらサンタ業ってさ、個人で業務を遂行するわけじゃん?研修の時お世話になった先輩がいたんだけど、去年定年退職しちゃって。もう知らないサンタばっかりよ。君知らないだろ?全然話したことない社員同士の飲み会ほど気まずいものはないぜ?」

ぼ「大丈夫だよ。お酒の力で仲良くなればいいんだよ」

さ「簡単に言うよなぁ〜。僕人見知りだし大人数の飲み会とかそもそもあんま好きじゃないんだよな。それにもう自分で言っちゃうけど、飲むとめんどくさくなるタイプの人間なの。酒で友達無くすタイプなの」

ぼ「そんな自信ありげに言わないでよ。飲んでなくてもめんどくさいから大丈夫だよ」

さ「あ、ちょっとひどいぞ今のセリフは。こう見えて僕メンタルほろほろなの。すぐ傷ついちゃうの。子どもって結構ストレートに思ったこと言ってくるじゃん?あれ、きついよね」

ぼ「例えば?」

さ「息が酒臭いって言われたり」

ぼ「自業自得じゃん。っていうかお酒飲んでからプレゼント配ってるの?お酒飲んでソリに乗ったら飲酒運転になるんじゃなかったの?」

さ「『自業自得じゃん』っていう言葉もちょっと傷ついちゃった。図星なことを言われるととってもつらい。大丈夫。飲んだ時は代行のソリ呼ぶから。交通費は経費で落とせるんだよ。なにせ国跨いだりするから結構な値段になるからね。そこら辺は割と手厚い会社だと思う」

ぼ「運転してるのトナカイなのに代行っていう概念があるの?」

さ「ファンタジーだからなんでもありなんだよ。サンタが飲酒運転してたらちょっとイメージ悪いからさ。その辺は厳しく取り扱ってるみたい」

ぼ「意味分かんないところがファンタジーだね。今までだいぶ現実語ってたのに」

さ「だってさ〜、現実なんだよ色々。夢の国だって裏側は色々あるでしょ?サンタもいっしょよ。今は色々効率化してるじゃん、時代が。それで自動で送れるシステム?みたいのも一応できるはできるらしいんだけど、それだとちょっと夢ないよね〜みたいな感じで、結局全部手作業なの。おかげさまでこっちは毎年仕事に追われてるよ」

ぼ「お仕事がんばってね。ちなみにぼく今年『筋トレ始めようセット+』頼んだから」

さ「え?うそでしょ?しかも今年プラスが発売されてんの?結構売れてんだなあ。あれお値段もけっこうするのよね」

ぼ「じゃあ、おやすみなさい」

さ「え?なに?早いね寝るの。もうちょっとおじいちゃんの話に付き合ってよ、ねえ」

ぼ「うん、今度ね今度。来るんでしょ?クリスマス」

さ「来るよ?来るけどさあ、どうせ寝てるだろ君」

ぼ「……」

さ「あ、うそでしょもう寝ちゃったの?子どもの寝つきは早いなあ。僕なんかもう世間的にはじじいの部類だから夜中に目ぇ覚めるし朝もめっちゃ早いねん。でもこの歳になると朝起きても特にやる事ないしすっごい散歩しちゃう」

ぼ「独り言は家で飲みながらしなよ。もう外寒いしぼく寝らんなくなっちゃうよ」

さ「君、しばらく見ない間にずいぶん厳しいことを言うようになったな。いや、元からそうだったっけ。もう今年はもう真冬並みの寒さだよね。ほんと寒い。でもこの前ユ○クロのめっちゃ暖かいヒートテックのやつ買ったら、これまじ、まじだわ。あの値段でこのクオリティはすごいよなあ」

ぼ「…」

さ「それから…」

ぼ「…」

さ「…分かったよ。年寄りは帰りますよ」

ぼ「トナカイが外で待ってるんじゃないの?」

さ「あ、今日はね、チャリで来た。今日は私服だしいつ帰ってもおけ」

ぼ「今日予行練習じゃなかったの?全然練習になってないじゃん」

さ「いいじゃーん、たまにはふつうに遊びに来たってさ。予行練習はその、口実?的な」

ぼ「人が寝てる時に忍びこんでくるの、ふつうに遊びに来るって言わないからね」

さ「分かったよ。ごめんよう、帰るから。なんか仕事ばっかで荒んでてさぁ、話し相手ほしかったのよ。あ〜でもなんか話したらちょっとすっきりしちゃったな。うん、とりあえず今年いっぱいはサンタ続けようかなって思う」

ぼ「たぶんそれ、毎年言うことになると思うよ」

さ「え、なにそれなんでなんで?」

ぼ「社会人って大体そう」

さ「なんだか君が諭してくれる側になっちゃったなあ」

ぼ「酔っ払ってプレゼント忘れないでね」

さ「おいおい僕が何年この仕事やってると思ってるんだい?余裕よ余裕。サンタがプレゼントもってくるの忘れたら流石にでしょ」

ぼ「自分でどんどんフラグ立ててくのやめてよ」

さ「じゃ週末ね〜またね〜。時間決まったらラ○ンする」

ぼ「しなくていいよ勝手にきてよ」

さ「あ、そう。じゃ来るけどさぁ、起きててね。絶対よ絶対」

ぼ「はいはい。おやすみ〜」

さ「おやすみ〜。あ、さむ外。当日はヒートテック2枚着といた方がいいね。じゃあね。そんなに遅くな🎅🎅🎅🎅🎅

話が長いサンタのせいで全然終われなくなっちゃった。

ハッピーメリークリスマス。

ではでは。

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